「日本はアジアに生きる国_PART7」
不安な気持ちで一杯だったが、タクシーにはだまされず、
ホテルには無事に着いた。
チェックイン時に、もしかして安くならないかと、
本当に 1泊 1万2千円 かと英単語を並べて
尋ねたが、
「そうだ。空港で言われ料金だ」と、断言された。
とにかく、部屋に入った。
そのとたん、ベルがなった。
覗いてみると、20歳くらいの男がニコニコして
立っていた。
「あやしいそうな男ではないな….」と判断して、
ドアを開けた。
「ユー ニー ガールフレンド?」と、繰り返す。
「あっそうか。彼はホテルの従業員で、親しげに
話しかけてきているんだ。
ぼくにガールフレンドがいるかどうか聞いて
いるんだ」と思ったので、
「ガールフレンド イン ジャパン!!」と
威勢よく答えると、
「ノー. ヒア イン シンガポール? 」
と言うので、
「ノー. マイ ガールフレンド イズ
イン ジャパン!!」
このやり取りを繰り返した。
その後、彼はあきらめたような顔をして、
「グッ ナイ」と言って、部屋を出て行った。
彼は一体「誰」だったのか?
今の大人になったぼくにはもちろん分かるが、
13歳のぼくには想像もつかなかったのだった….。
<続く>